WWDC2020、AirPods Pro大型アップデート、最強のノイズキャンセリングに最強のサラウンド?
WWDC2020
現地時間6月22日から開催されている世界開発者会議、WWDC2020でAppleは、iOS14/iPadOS14でAirPods Proに新たな機能を追加することを発表した。
具体的な新機能は3つ。
まず、今回の大目玉ともいえる、
「空間オーディオ」機能
次に、これまでのAirPodsの痒いところに手が届く、
「自動切り替え」機能
そして、少し地味だがありがたい、
「ヘッドホン・アコモデーション」機能
この3つの新機能が追加される。
中でも「空間オーディオ」機能に関しては、ソフトウェアアップデートで追加されるような内容ではないので正直驚いた。
確かに筆者もAirPods Proで音楽を聞いていて、このレベルでノイズキャンセリングができるならサラウンドにも対応していてもおかしくないのでは、と思っていたが、まさか本当に追加してしまうとは...。
Appleの技術力には感服するが、今までそれほどの能力があったのに隠されていたと思うと少し複雑だ。
空間オーディオ
先ほども言った通り、今回のアップデートの大目玉ともいえるこの「空間オーディオ」機能。
「空間」と聞いてピンとくる人も多いと思うが、バーチャルサラウンドに対応するものだ。5.1ch、7.1ch、Dolby atmosに対応する。
この、「空間オーディオ」機能。Appleがわざわざ「バーチャルサラウンド」と呼ばないのには理由がある。
それは、「ヘッドトラッキング」機能に対応することだ。
VRコンテンツなどでよく耳にするこのワード。具体的にどういうことか説明すると、普通、映画を見ているとき、頭を動かしても音が聞こえる方向が変わることはない。
だが、この「ヘッドトラッキング」機能によって、iPhoneやiPadの画面に対して左を向けば左の音が、右を向けば右の音が聞こえてくるのだ。
もう少しわかりやすく言うと、右から戦闘機が飛んできているとする。今、戦闘機の音は右耳から聞こえているはずだ。それが右を向くと前から戦闘機が飛んできているように聞こえるのだ。
逆に、頭を動かさずに、持っているiPadなどを、左に動かすと左から音が、右に動かすと右から音が聞こえるようになるといった具合だ。
あまり、恩恵がないように思える人もいるだろうが、Appleはこれを、まずは、映像コンテンツなどに向けて展開していくつもりのようだ。
これは、筆者の個人的な意見だが、この「空間オーディオ」機能は、ARコンテンツと非常に相性がいいように思える。
今後、そういった対応コンテンツがどんどん増えていくのが楽しみだ。
自動切り替え
これまで、AirPodsでは、コンテンツを再生するデバイスを変える際、再生したいデバイス側で、AirPodsを手動で選択し、接続しなければならなかった。だが、今回のアップデートで追加される「自動切り替え」機能は、そんなAirPodsの歯がゆいところに手が届くような機能だ。
例えば、iPadでAirPodsを使って映画を見ている際、iPhoneに電話がかかってきたとする。その時、iPhoneで電話に出ると自動的にAirPodsの接続がiPadから、iPhoneに切り替わってくれるのだ。
電話に限らず、先ほどまで、iPhoneで音楽を聴いていたが、iPadで映画を見たくなったとき、iPadで映画を再生するだけで、自動でiPadに接続が切り替わってくれる。
この機能は、AirPods Proや第二世代AirPodsを含むAppleのH1チップを搭載した、イヤホンや、ヘッドホンなどで利用可能だ。
今までありそうでなかった機能だが、これに関しては筆者はかなり楽しみにしている。
筆者から見たAirPods Proは音楽鑑賞用の特別なデバイスではなく、普段使いの相棒のような存在なので、こういった、ウェアラブルデバイスとしての性能が高くなるアップデートは素直に嬉しい。
ヘッドホン・アコモデーション
先程はあまり触れなかった「ヘッドホン・アコモデーション」機能。正直、名前だけ聞いてもあまり、イメージが湧いてこない。
この「ヘッドホン・アコモデーション」機能だが、具体的には、ユーザーの聴力、つまり、低音が聞こえにくい、高音が聞こえにくい、などの個人差に合わせて、AirPodsから出る音を調整することができる機能だ。
ちなみにアコモデーションとは適応や順応を意味する言葉で、ユーザーの聴力に適応すると言った意味だろう。
この機能は、アクセシビリティに分類され、AirPods Proや第二世代AirPodsを含む、Apple のH1チップを搭載したイヤホンや、ヘッドホン、さらにはApple純正有線イヤホンのEarPods
with lightning connectorで利用可能だ。
その他
そのほかにも、AirPods Proの外部音取り込みのレベルの段階が選べるようになったり、AirPodsの充電が残り少ない時の通知をポップアップでiPhoneなどに表示する機能が追加される。なお、これら全ての機能はiOS14、iPadOS14にアップデートしたiPhone、iPadなどで利用出来る。
最後に
今回のアップデートは、特別AirPods Proの価値が変わるようなそんなアップデートだ。すでにAirPods Proを持っている人はもちろん期待したいし、まだ持っていない人はこの機会に購入を一考してみるのもいいかもしれない。